健康管理、体調管理とは、かつては個人で行うものと考えられていましたが、労働人口の減少が進む中小企業にとって「人材の確保」は課題であり、人手不足から生じる生産性の低下は、会社の未来をも左右しかねません。そこで最近では、経営的な視点においても社員の健康確保を推進する「健康経営」という考え方が注目されています。個人の健康状況の把握つまりは定期健康診断の結果を見ると・・・社員の過半数に何らかの指摘事項(有意所見)があり、 社員の3人に1人が脂質異常症という状況です。生活習慣病は個人の責任?脳血管疾患や虚血性心疾患(以下脳・心臓疾患)が発症する原因となる動脈硬化などの血管の病気の進行は、加齢や生活習慣などの自然経過で徐々に進行し、ある日突然発症します。基本的には “私病”(業務に起因しない病気) と考えられていますが、脳・心臓疾患は、個人的な生活習慣から自然経過による発症だけでなく、自然の経過に長時間労働が続くなどの業務上の負担によって急に悪化し発症することがあります。業務上の負担が発症に関連したことが認定されると労災補償の対象となります。
対策①
社員の健康状況を把握する
健康診断の実施後には適切な措置をとる
・異常な所見を放置したことによる悪化、発症を防ぐ
・健康教育など健康増強への取り組みを実施する
対策②
過重労働への対策
・病気の発病の要因となる疲労の蓄積を生じないようにする。
労働安全衛生法では、長時間労働により疲労が蓄積し、脳・心臓疾患の発症リスクが高い労働者に対し、事業者は医師による面接指導の実施が義務付けられています。また、面接の対象にならなくても、予防的な観点での面接指導などの取り組みが求められています。社員の健康は、 個人の問題ではない時代へと進んでいます。企業側には、社員の安全と健康を守り、労働災害防止に努める「安全配慮義務」があります。社員の健康状態が悪化していることを知っていながら何も措置をとらないと安全配慮義務違反となり賠償が発生することがあります。 一方で、社員にも会社に労働力を提供するために自分自身の健康管理を行う義務として「自己保健義務」があります。健康診断の結果は、放置しないようにしましょう!