糖尿病というと、治療や生活習慣改善のうえで、どうしても「血糖値」のコントロールばかりに注意がいきがちです。しかし、厚生労働省の平成20年の調査によると、50~79歳の2型糖尿病患者*のうち半数以上の53%が「高血圧」を併発しています。 高血圧は糖尿病と同様に「サイレントキラー」と呼ばれ、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。糖尿病に気づいたときにすでに高血圧も合併していることも多く、また、糖尿病を発症後に高血圧になっても、血糖値の管理を優先して高血圧を放置してしまうというケースもみられます。糖尿病に高血圧を合併すると「動脈硬化などから血管に大きなダメージをもたらし」、「心臓発作や脳卒中など命にかかわる合併症のリスクが2倍に」、また「末梢血管病も増え網膜症や腎臓病にも影響」します。糖尿病の人は血糖値はもちろん、常に血圧にも注意し管理することが必要です。
*糖尿病は、若年発症が多い「1型」と生活習慣病に関係する「2型」の2種類に大きく分かれ、日本人は約95%が「2型糖尿病」です。まずは塩分制限と運動。下がらない場合は薬で血圧コントロールしましょう。血圧のコントロールは血糖値と同様に、基本は食事療法と運動療法です。特に有効なのは食生活における塩分制限で、1日6~7gを目安にします。しょうゆやソースをかけすぎてしまう人は、代わりにレモンや酢などを使ってみましょう。そのほかは糖尿病の食事療法に従い、栄養バランスのよい、カロリーを抑えた食事を心がけ、毎日少しずつでも体を動かすようにします。
健康的な食事や運動を続けても血圧が十分に下がらない場合は、主治医に相談して薬で目標の血圧にコントロールすることもあります。降圧剤は糖尿病がある人はレニン・アンジオテンシン系の薬を使用することが多いですが、カルシウム拮抗薬やβ遮断薬、α遮断薬、利尿薬などが処方されることもあります。血糖値だけでなく血圧もコントロールすることで、大きな危険を回避することが可能です。生活習慣を改善するとともに、必要があれば降圧薬を活用して血圧をきちんと管理するようにしましょう。

<参考資料>
『日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編 高血圧治療ガイドライン2014 』
(ライフサイエンス出版)
『2013年国民健康・栄養調査』(厚生労働省)
『これでわかる生活習慣病の予防と対策「糖尿病」「高血圧」』」(制作/社会保険研究所) ほか