年の瀬も押し迫ると、忘年会など飲酒の機会がぐんと増えます。なかには、連日二日酔いになるほど大量に飲むという方もいらっしゃるかもしれませんね。そして、数々の忘年会を無事に終えてもすぐに、今度はお屠蘇と新年会が待ち受けています。楽しい飲酒はストレスを解消したり、人との親睦を深めることができたりなど、心身の健康に効果があるといわれますが、節度を越えた飲酒には多くのリスクが伴います。楽しい飲酒が新しい年への期待を生み、それがそのまま日々の活力となるような、節度ある飲酒を心がけたいものです。アルコールには、適量であれば血液の流れをよくしたり、HDL(善玉)コレステロールを増やして血液を固まりにくくし、動脈硬化のリスクを低下させるなどの効果があります。しかし、適量を超えて飲み続けると、中性脂肪を増加させ、脂肪肝や肝炎、痛風、糖尿病、食道がんなど、さまざまな病気の原因になります。

<過度の飲酒の主なリスク>

口腔・喉頭:むし歯、歯周炎、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん など
食 道:食道炎、食道静脈瘤、食道がん など
心 臓:高血圧、不整脈、心筋症 など
胃 ・ 腸:胃炎、胃潰瘍、胃がん、下痢、痔、大腸がん など
肝 臓:脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝がん など
す い 臓:すい炎 など
:脳梗塞、脳出血、大脳萎縮、記憶障害、アルコール性認知症、認知症 など
そ の 他:急性アルコール中毒、アルコール依存症、幻覚、妄想、うつ病、動脈硬化促進、糖尿病、痛風、骨粗しょう症、乳がん など
一般的に、飲酒の適量は、1日平均純アルコール量で20g程度(日本酒なら1合弱)とされています。個人差はありますが、これくらいの量で血中アルコール濃度が約0.02~0.04%となり、爽快な気分になる程度のいわゆる「酔い」の状態となります。適量を超えると、理性が鈍り抑制が取れて、飲みすぎなどにつながります。

飲酒の量と酔いの状態

体内に吸収されて血液に入ったアルコールは、血流にのって全身を循環して、脳にも巡り大脳の機能を低下させ、「酔い」の状態を引き起こします。血中のアルコールの量が増えると、「ほろ酔い」から「酩酊(めいてい)初期」「酩酊期」、そして「泥酔期」へと脳の機能低下が進み、やがて昏睡状態になり、最悪の場合死に至ることもあります。実は、「ほろ酔い」はすでに適量を超えている状態ですので、その一歩手前で控えるのが理想的です。お酒を飲み始めてからアルコールが脳に影響を及ぼすまでは、30分ほどかかります。まだ酔っていないからといって最初から早いペースで一気に飲酒するのはたいへん危険です。また、アルコールの分解は「アルコール→アセトアルデヒド」「アセトアルデヒド→酢酸」の順で、主に肝臓で行われます。酢酸は筋肉などに移動して、筋肉細胞内で最終的に水と炭酸ガスという無害な物質に分解され体外に排出されます。筋肉量の少ない人は、アルコール分解速度が遅めであることを考慮し、飲みすぎないよう心がけておくのがよいでしょう。女性や高齢者なども、一般的にアルコールの分解には時間がかかりますので注意しましょう。
改めて「節度」という言葉の意味を調べてみると、「度を越さず、適度であること。ちょうどよい程度(『大辞林』より引用)」とあります。この「ちょうどよい程度」で飲酒を切り上げるというのが難しいところ。特に、年末年始の酒席は雰囲気や勢いでついつい飲みすぎてしまい、気がつけば「二日酔い納め」や「二日酔い初め」などということも珍しくないのでは? 「終わりよければすべてよし」といわれるように、1年の終わりを無事に終えてこそよい締めくくりとなり、すばらしい1年を迎えられるものです。
どうぞ、健康で輝かしい新年をお迎えください。
<参考資料>
◆『お酒×適量=活力 心も体も喜ぶバランス』(監修/公益財団法人結核予防会第一健康相談所総合健診センター所長 岡山明、制作/社会保険研究所)
◆『健康日本21(アルコール)』(厚生労働省) ほか